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【借地】 土地利用権の種類 借地権以外にもいろいろあります

投稿日:2017年10月24日


土地の利用権といえば、まずは借地権を思い浮かべることと思います。
しかし、法律で定める土地の利用権としては、借地権はむしろ例外的です。実は、借地権以外にも様々な種類の利用権があります。

今回は、借地権をはじめとして、法律で規定されているさまざまな土地の利用権について解説します。
建物の利用権についてはこちら

借地権(借地借家法・旧借地法)

後述するように、土地の利用権には賃借権を始めとしてさまざまな種類の権利がありますが、そのうち建物の所有を目的とする賃借権・地上権についてのみ、借地借家法によって「借地権」と名付けられ特別な扱いがされています。

1992年(平成4年)8月1日以降に設定された借地権については現行の借地借家法が適用されますが、その中で借地権として次の5種類が定められています。

① 普通借地権
② 定期借地権
③ 事業用定期借地権
④ 建物譲渡特約付借地権
⑤ 一時使用目的の借地権

なお、1992年(平成4年)8月1日よりも前に設定された借地権(まだまだこちらの方が多いかもしれません)については旧借地法が適用され、この場合には借地権は一種類しかありません(①の項目であわせて解説します)。

以下、順に見ていきましょう。

① 普通借地権

契約で存続期間が定められますが、更新の拒絶が認められない限り更新されます。

ご存じのとおり、更新拒絶や解約・解除はそう簡単に認められるものではないため、結果半永久的に存続することになります。

・現行法(1992年8月1日以降の契約)の内容
建物の構造に関係なく、存続期間は最低30年です(これより短い期間を定めても自動的に30年に延長されます)。
合意の上の更新する場合、初回の更新後の期間は最低20年、2回目以降は最低10年です。

・旧借地法(1992年8月1日より前の契約)の内容
建物の構造に応じ、存続期間は最低30年または20年です(期間を定めなければ60年または30年です!)。
更新後の期間は、構造に応じて最低30年または20年です。

② 定期借地権(一般定期借地権)

現行の借地借家法で新しく認められた借地権です。②から⑤は1992年8月1日以降の契約に適用されます。

定期借地権とは、一定の存続期間を区切って更新を認めない借地権です。期間が満了したら借地権は消滅します。

ただし、存続期間を50年以上と定めること、公正証書などの書面によって契約すること、などが条件です。

③ 事業用定期借地権

事業用の建物(店舗や商業施設等)所有を目的とする定期借地権です。

存続期間を10年以上50年未満と定めること、公正証書などの書面によって契約すること、などが条件です。

 

④ 建物譲渡特約付借地権

存続期間を30年以上として、期間満了時に、借地人の建物を地主が買い取ることで借地権を消滅させる旨を定めた定期借地権です。

実際の事例はかなり少ないようです。私は実例を見たことがありません。

⑤ 一時使用目的の借地権

建物の所有を目的とする賃借権・地上権であっても、一時使用目的であることが明らかである場合には、借地借家法の上記規制(特に①)が適用されません。

次の項で述べる、民法の規定が適用されます。

ただし、一時使用目的といえるためにはその客観的・合理的理由が必要で、単に契約書に「一時使用のため」と書いてあるだけでは一時使用と認められません。

賃借権(民法)

建物の所有を目的とする場合以外の賃借権については、借地借家法ではなく、民法の規定によることになります。
駐車場や資材置き場などで土地を賃貸する場合が典型的ですね。

この場合、賃借権の存続期間は20年以下です(借地借家法上の借地権と異なり、下限はありません)。
20年を超える期間を定めることはできません。更新後も同様です。

存続期間が満了すると、契約は終了します。

存続期間を特に定めなかった場合は、貸主による解約申入れから1年経過した時点で賃借権は消滅します。

使用借権(民法)

賃貸借は有料の場合ですが、無料の場合は民法上使用貸借といい、また違った規定が適用されます。
親族間の貸し借りによくみられます。

賃借権よりも弱い権利で、使用借権が消滅するのは、①存続期間を定めた場合には期間満了時、②使用目的を定めた場合には目的達成時、③期間・目的を定めなかった場合は貸主が解約申入れをした時点です。

存続期間については制限がありません。

地上権(民法)

賃借権と似たような権利で、地上権という権利もあります。

こちらも、建物の所有を目的とする場合以外は、借地借家法ではなく民法が適用されます。

土地そのもの(土地の表面)を利用する場合のみならず、土地の上空を利用する場合(空間地上権といいます)や、地下空間を利用する場合(地下地上権といいます)もあります。

存続期間については原則として制限がありません。

その他(民法)

以上のほかに、永小作権、地役権、囲繞地通行権などがありますが、永小作権は現代ではほとんどみられませんし(通常は賃貸借か使用貸借)、地役権や囲繞地通行権は特定の目的のために土地の一部を利用する場合の権利ですので、ここでは割愛します。


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