交渉・説得 話し方・伝え方

なぜ相手は分かってくれない? 論理と感情の問題

投稿日:2017年2月20日


どうして相手は自分の主張を分かってくれないのか。
互いに自分が正しいと思うことを主張しているのに、なぜか議論がかみあわず、収拾つかなくなることがあります。
これは相手の理解不足が問題なのでしょうか?

どのような問題なのか

純粋に論理のみの議論であれば、収拾がつかなくなるのは多くの場合、どちらか(あるいは両方)の理解不足が原因であると言えるでしょう。
しかし、通常は「純粋に論理のみの議論」というものは無いはずです。

収拾がつかなくなった議論をひも解いてみると、その原因が分かります。
双方の主張の根本にさかのぼってみると、その出発点が異なっているのです。

それは、論理の問題と、感情の問題です。
つまり、それぞれが、「論理的には自分の主張が正しい」「自分の感情を理解して欲しい」と主張しているため、議論がかみ合っていないのです。

一方は論理的な正しさを訴え、他方は感情を理解するよう訴える。
議論が収集つかなくなる場合は、互いの主張がこのようなパターンになっていることが多いように思います。

なぜこのような問題が起きるのか

それは、一つは、人は論理だけでなく感情によって意思決定を行うためです。そして二つ目は、そのことを無意識に行っているため、自分が今、論理と感情のどちらを理由にしているかが分かりづらいからです。

つまり、「論理的に納得できるか」「感情的に納得できるか」は別の問題である(=二つの問題がある)にもかかわらず、それを意識していないため、論理の面を主張されても、感情が無意識にそれを納得することを拒むのです。

例えば、何か嫌な出来事が起こったとして、「その出来事が起こったことはやむを得ないことなんだ」と論理的に説明され、仮にその説明が論理的に正しかったとしても、「嫌な感じがした」という感情は消えません。したがって、感情面でその説得を受け入れることができないのです。

このように、論理的に説得されても、感情の面で納得はしていないため、いかに相手の主張が論理的に正しくても、相手の主張を受け入れることができなくなっています。

そうすると、何を言われても反論するしかなくなってしまいますが、その反論は多くの場合論理的ではないため、最終的には冒頭のような収拾のつかない状態になってしまうのです。

どのように議論を整理したらよいのか

このような事態を解決するためには、まずは「論理と感情は別次元の問題で、どちらも正当なものである」ということを理解する必要があります。
その上で、自分の主張、あるいは相手の主張の、それぞれの出発点がどちらにあるのかを見極め、対応する必要があります。

特に、自分の主張の出発点を考えてみて、それが感情的な問題にある場合は、「(論理的にはともかく)自分は●●という点について○○という感情を持っており、そこが納得できない」ということを早期に伝える必要があります。

自分は論理面ではなく感情面を問題にしているということを相手に伝えなければ、議論はかみ合わないままです。

逆に、相手の主張の出発点が感情面にあるのだと思ったら、「もしかしたら●●という点について、(論理的にはともかく)感情論として言いたいことがあるのでは?」と考え、論理の問題と感情の問題を分離して議論を進めるよう、リードする必要があるでしょう。

もちろん、感情面の問題については、必ずしも議論によって解決するわけではありません。
しかし、相手が持っている感情面の問題を意識的に理解することにより、かみ合わなくなった議論の問題点を整理することができるように思います。

これにより、「論理的には自分の主張が正しいが、感情面を考えると相手の言い分はもっともだ」、あるいは「感情的にはあなたの主張することも分かるが、ここでは論理的に解決すべきだ」といった、議論の整理ができるのではないかと思います。

まとめ

以上のように、議論においては、論理の面と感情の面という二種類の問題があり、そのことを理解した上で、両面から歩み寄った解決策を協力して作り上げていくのが、真に建設的な議論と言えるのではないかと思います。


-交渉・説得, 話し方・伝え方

Copyright© 関口法律事務所 , 2018 All Rights Reserved.