いろいろな話

東弁・一弁・二弁 東京にある3つの弁護士会について

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久々にこのような話を聞きました。

「第二東京弁護士会」という名称から、ここに所属している弁護士が一軍ではなく二軍であるかのような誤解を生むことが、かつては多くあったと聞きます。

私も第二東京弁護士会の所属ですが、もちろん、二軍とか二流だからというわけでは全くありません

上記のツイートは、「久々にそんなこと言われた」という趣旨の笑い話ですが、誤解まではされなくとも「東京にある3つの弁護士会の違いは何なの?」ときかれることがありますので、ここで簡単にご説明したいと思います。

 

「日弁連」と「弁護士会」

弁護士になるためには、全国的な組織である「日本弁護士連合会」(日弁連)と、各都道府県別の「弁護士会」の両方に登録(入会)しなければなりません。
この両方に登録してはじめて弁護士の資格が得られるのです。

登録する弁護士会は、勤務先の場所により決まります。

弁護士会は、原則として各都道府県に1つずつありますが、例外として北海道には4つ、東京都には3つの弁護士会があります。

このうち北海道は、広いため4つの区域に分かれている(地方裁判所も4つある)からなのですが、東京都に関しては、全く同じ区域にの3つの弁護士会があります。

それが、
・東京弁護士会(略して「東弁」)
・第一東京弁護士会(〃「一弁」)
・第二東京弁護士会(〃「二弁」)
の3つです。

では、どうして弁護士会が3つもあるのか、また名称がこのようになったのでしょうか。

 

誤解を招く(?)弁護士会の名前の経緯

こうなった経緯は、簡単にいうと以下のとおりです。

もともと東京には「東京弁護士会」があったのですが、いろいろあってその方針に反対した弁護士たちが、1923年(大正12年)新たに「第一東京弁護士会」を立ち上げました。
さらにその後、東弁と一弁の争いに嫌気がさした(?)人たちが集まって1926年(大正15年)「第二東京弁護士会」を立ち上げたのです。
戦後にできた現在の制度にも、これがそのまま引き継がれました。

このように、発端は今から100年近く前の話なのですが、問題の根源は最初に一弁が分裂した時にあります。

既に「東京弁護士会」があったので、それとは違う何か、インパクトのある名前を付けたかったのは分かります。
もちろん「東京」の名前を冠する必要があります。

そこで、「第一」を頭に付けてしまったのです。

これが例えば「真・東京弁護士会」とか「東京弁護士会本舗」とか「元祖 東京弁護士会」でもよかったですし、何なら「首都弁護士会東京」とかでもよかったのです。
しかし、先に分裂した団体が「第一」と付けてしまったため、次に分裂した団体は「第二」と付けるしかなかったのです。

以上のように、名前に「第二」と付いているのは単に「第一東京弁護士会の次にできたから」であって、それ以上の意味はありません。
(なお、その後二弁では「やっぱり名前がよくないから変えよう」という動きがあったのですが、他に適切な名前がないなどの理由で、結局名前が変わることはなく今に至っています。)

 

※詳しい経緯はこちらのサイトが参考になります。

東京にはなぜ3つ弁護士会があるのですか | 庶民の弁護士 伊東良徳

河野真樹の弁護士観察日記 なぜ東京に三つの弁護士会?

 

東弁・一弁・二弁の違い

名前の問題はともかく、分裂の経緯から3つの弁護士会にはそれぞれ異なる特色がある、と昔はいわれていたようです。

例えば一弁の弁護士は企業法務専門が多く(そのためリッチ)だとか、東弁は労働問題(の労働者側)が強い弁護士が多いとか、二弁は革新的だ、などといった話です。
ただし、前記のとおり分裂劇は100年前の話ですので、現在いる弁護士にはあまり関係のない話です(たまに出す会長声明に特色が出たりしますが)。

3つの弁護士会の違いは主に、会員数の違いと、東弁は入会金が2万円安い、ということくらいでしょうか。

会員数(2018年4月1日現在)
 東弁:8,269名
 一弁:5,203名
 二弁:5,408名

なお、3つの弁護士会の本部(事務局)は、霞が関の「弁護士会館」というビルに入っています。
ここには日弁連も入っています。

このビルは地上17階・地下2階建てで、上記のように日弁連と、東弁、一弁、二弁のフロアが分かれています。
階数の上下には特に意味はありません(はず)。

その他のフロアについては、3つの弁護士会の共有だったり、東弁と二弁の共有だったり、日弁連と東弁の共有だったりと、ややこしい関係になっています。

 

どの弁護士会に入会するか

さて、東京の事務所に就職する(あるいは他県から転職する)弁護士は、必ずこの3つのどれかに入らなければなりません。

ではどれに入るのかというと、制度上は、3つのうちどれに入っても問題ありません。
ただ現実は、いろいろな関係上、就職する事務所の所長と同じ弁護士会にすることが多いです。
(例えば、事務所の所長が二弁ならその他の弁護士も全員二弁である、といった感じです。)

また、一度どれかの弁護士会に入会したら、事務所を移った場合でも(いろいろな関係上)変えないことが多いです。
(上記の例でその事務所に一人だけ東弁の弁護士がいたら、その人は中途移籍と考えられます。)

要するに、ある弁護士がどこの弁護士会の所属なのかは「単に最初に就職した事務所によってほぼ決まる」というのが結論です。

 

まとめ

以上のように、(私をはじめ)二弁に所属しているのは、単に最初に入った事務所の先生が二弁だったからであって、「二軍だから二弁にいる」とか「いつか業績を上げたら一弁に昇格する」とかいうわけでは一切ありませんので、どうかご安心ください

なお、各弁護士会の名称に関しては、名前に「県」が入ったり入らなかったり問題(千葉弁護士会、埼玉弁護士会など)や、一昨年(2016年)に「横浜弁護士会」が「神奈川県弁護士会」に改称した経緯などの、興味深い小ネタがほかにもありますので、気になった方はぜひ調べてみてください。


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