交通事故被害に遭った際、多くの場合は損害賠償について保険会社と交渉することになります。

しかし、被害者は交通事故に関して素人、対する保険会社はプロです。
そして、双方には大きな情報格差があります。

交通事故の賠償問題に関しては、法律的知識のほか医学的・工学的知識に加え、実務運用に関する知識(後遺障害等級認定手続に関する知識など)も必要になります。
一般の方がこれらの知識を身につけるのは簡単ではありませんが、保険会社は常日頃から交通事故問題を扱っていますので当然これらの知識・経験は身についています。
そのため、損害賠償の交渉において、被害者と保険会社との力の差は大きいものとなります。

もちろん現在においては、保険会社がその知識を悪用して、被害者に極めて不利な内容で示談を行おうとするケースはほとんどありません。
通常は、割と親切に対応してくれることが多いかと思います。

しかし、こちらが言い出さなければ請求方法を教えてくれない損害項目があったり、自分としてはもっと治療を続けたかったのに保険会社の判断で治療終了とされたりする、という不満は実際によく聞きます。
また、保険会社が使用する慰謝料額の基準は、裁判所で使用されるものより低額である(半額以下のこともあります)ことは、周知の事実でしょう。

さらに、死亡・後遺障害事案では支払金額が大きくなるため、保険会社との交渉もシビアなものとなります。
加えて、特に後遺障害事案では、適切な等級認定を受けるにあたり医学的知識も必要となってきますので、保険会社の言いなりになってしまうことがあります(なお、保険会社には交通事故医学に精通したスタッフと、顧問医と呼ばれる医師がいます)。

損害賠償の交渉は、以上のような状況です。
「大したケガではないから時間をかけずに終わらせたい」というケースであれば別ですが、そうでない場合は、交渉を始める前に一度弁護士にご相談ください。

後遺障害について

後遺症が生じた場合の損害賠償交渉・訴訟においては、後遺障害が認定されるかどうか、認定されたとして何級に認定されるかが非常に重要になります。
後遺障害が、どのような機関によりどのように認定されるか、またどのようなケースで認定されるかについて解説します。

過失割合について

損害金額が大きい場合は、過失割合のわずかな違いによっても最終支払額に大きく影響します。
特に、治療が長期にわたり、既払分の治療費が高額であれば、最終支払額への影響はより大きなものとなります。
過失割合がどのように認定されるのか、こちらの主張を立証するためにはどのような証拠が必要なのか、などについて解説します。