失言をしないために(その2)
さて、今回は「失言のように取られかねない(取られる余地がある)内容の発言」です。
失言とは言えなさそうな発言でも、文脈を無視して切り取られてしまえば失言認定されかねません。
厄介な交渉相手や刺激的な記事を書きたい記者などによって、悪意を持った切り取られ方をされる場合もあります。
交渉の場面でも、釈明のための会見をする場面でも常に、揚げ足を取られないように気をつけるべきです。
では、その傾向と対策はどのようなものでしょうか。
マイナスワードに要注意
前回お伝えしたように、不快系の失言は言ってはならない単語(人格否定や差別に関連しそうな単語)を覚えておいて、それを絶対に言わないように心がけていれば普通は大丈夫です。
しかし、あえて相手があなたを感情的にさせるように煽り、そのような単語を引き出そうとしてくるのです。
論理的でなく、本質を外れたような点について、人をいらつかせるような些末な指摘にこだわりそれを繰り返せば、思わず声を荒げたり、「そんなバカな主張に…」などと口走ってしまうこともあります。
当然、相手はそこを突いてきたり、あるいは記事において「バカ発言」などと要約されることになります。
対策
とにかく冷静になることです。挑発的な質問に対しては一呼吸置いてから発言しましょう。
また、いかなる場合にも、マイナスワードはどんな場合にも絶対に言わないことです。
どこをどう切り取られるか分かりません。
例えに注意
人を物に例えるのも危険です。
以前、出生率と人口の増減の関係を説明するのに、女性を子供を産む機械に例えた方がいましたね。
この発言は「『女は子供を産む機械』発言」と要約されました。文脈がどうだったにせよ、また、たとえそのような趣旨ではなかったといくら説明しても、「そのようなたとえを出すこと自体が、潜在的にそのような認識を持っているからだ」と言われてしまいます。
対策
大体は、その主張においてわざわざ例えを用いる必要がないので、あえて危険な表現方法をとることは避けるのが無難です。
議論の軸をずらされている場合に注意
「今それは関係ないだろ」とか「今それはどうでもいいだろ」という発言も危険です。
相手が議論の軸をずらして、本質ではないことをネチネチ攻撃してくる場合に言ってしまいそうです。
しかし安易にこれに乗ってしまうと、「被害者のことはどうでもいいというのか」などの批判を受けてしまいます。
対策
話のずれに対しては「それは話の本質ではない」と指摘してすぐに本題に戻ることが重要だと思います。
それでも「被害者の苦しみをどう思うのか」などの、感情に関する質問については、ひとまず「遺憾」などと言って同意をしておくのが無難です。
まとめ
要するに、揚げ足を取られないような発言を心がけることが重要です。
そのためにも、決して冷静さを失わないようにすることが大切だと思います。
議論や記者会見のような場では、相手は常にこちらの感情を揺さぶって失言(と取れるような発言)を引き出そうとしているのでは、という警戒を持っておくべきではないでしょうか。