話し方・伝え方

失言をしないために(その1)

投稿日:2017年3月2日


日常生活でうっかり失言をしてしまうことはないでしょうか。
今回は、失言の原因と対策について考察してみます。

ニュースなどで、芸能人や大企業の経営者、政治家や官僚などの発言が「失言」であるとして話題になることがあります。
日常生活のレベルでも、ついうっかりとした失言によって相手の感情を害してしまったり、誤解を与えてしまった経験も少なくないのではないでしょうか。

うっかりした失言により、相手を不必要に感情的にしてしまったり、発言の揚げ足を取られて攻め込まれたり、悪意を持って切り取られて記事にされたり、炎上したり…
ビジネスの場面でも、失言によって、交渉において形勢が不利になる危険や、企業イメージを低下させてしまう危険があります。

では、失言を避けるためにはどうしたらよいのでしょうか。

これって「失言」なの?

そもそも、ある発言がなぜ「失言」とされるのでしょうか。

失言とは、辞書では「言ってはいけない事を、うっかり言ってしまうこと。また、その言葉。」と定義されています。
では「言ってはいけない事」とはどのような内容なのでしょうか。

私は、大きく「不快系」と「間違い系」に分けて考えています。
加えて「これらのように取られかねない(取られる余地がある)内容の発言」も、失言に含めて考えてもよいと思います(これは次回に)。

以下順に考えてみます。

「不快系」の失言とは

抽象的に言えば、人に不快感を与えるという共通認識がある内容の発言ということになりますが、話の直接の相手に不快感を与える場合に限らず、それを聞いた第三者が不快感を持つような内容も含まれることに注意が必要です。

まず、人格否定などの暴言の類や、差別にかかわる(かかわりそうな)内容を批判的な文脈で用いると、間違いなく失言認定されます。

前者は、「バカ」とか「クズ」とかそういう類です。
後者は、宗教、政治信条、人種、性別、出身、体形・体質や病気に関する事項などで、いわゆるタブーとされている事項です。これらに関する単語を否定的な文脈で使ってしまうと、即失言認定です。
これらは、直接の相手だけでなく、それを聞いた第三者が不快感を持つこともありますね。

・対策

このパターンについては、そもそもそれらの単語を使わないようにすることで、失言を防止できそうです。
常識の範囲内だとは思いますが、人格否定に関わる用語やタブー事項を理解し注意しておくことが必要ですね。

次に、相手の感情を否定する内容もNGです。悲しんだり苦しんだりしている人に「大したことなくない?」と言ってしまい反感を買ったことはないでしょうか。
感情は論理的なものではないので、いくらその感情を持つことが合理的ではないと思えても、それを口にしてしまえば「ヒドい発言だ」として失言認定されてしまいます。
例えば、何らかの事故が起きて被害が出たものの、加害者とされている会社が「自社の責任ではない」と争っている場面で、「被害者が重大な症状で苦しんでいるのをどう思うか」と聞かれ「それは関係ない」などと答えてしまうと、失言認定されてしまいます(明らかに被害者の自業自得であることに共通認識が得られる場合は別ですが)。

これも、直接の相手だけではなく、第三者を不快にさせることがあるパターンですね。

・対策

感情に対しては、ひとまず当たりさわりのないように同意しておくのが鉄則です。「遺憾に思います」という便利なワードもあります。

「間違い系」の失言とは

大きく「真実でないこと」と「間違った(とされている)考え方」に分かれます。

前者は分かりやすいですね。昔から嘘は言ってはいけないといわれているので、発言が嘘だったら責められてしまいます。
意図的な嘘じゃなかったとしても「よく確認しないで発言したこと」自体を責められてしまいます。

・対策

そのため、事実関係については証拠に基づいて発言することが必要です。分からないことは分からないと答えましょう。「事実関係を確認中」とか「記憶にございません」という便利なワードが使われていますね。

後者の「間違った(とされている)考え方」とは社会のルール(的なもの)に反する内容や、学術的に間違っている内容のことです。
一般的に悪いことだとされている内容で、一番分かりやすいのは法律に違反する内容です。犯罪行為を自慢したり、「残業代なんか払っていたら会社がつぶれる」と発言してしまえば、やはり失言認定です。
また、医学的に根拠のない(とされている)内容についても気を付けるべきです。放射線関係の失言が多い気がします。

また、一般に「不謹慎」だと言われている内容もNGです。不謹慎とは慎むべき時に慎んでいない状態のことをいいますが、よく分からないことも多いですね。
例えば人が亡くなった時に楽しそうにしてはいけないというのは分かりますが、大災害が起きた時にテレビCMを中止するのは正直よく分かりません。
まあ不謹慎だと言ったもん勝ちのような所はありますが…

・対策

まずは社会のルールを知る必要があります。そして、そのルールを軽視するような内容の発言を避けるべきです。
また、医学など自然科学や法律学、経済学に関わるような発言をする場合には、根拠を調べたうえで発言しましょう。明確な根拠が得られない場合には発言を避けた方がよさそうです。
ただ「不謹慎」についてはよく分からないことも多いので、ひとまず、少なくとも人が亡くなったり重病に苦しんでいるような場面では笑いを誘う単語を避けるように気を付けておきましょう。

次回

以上、「不快系」の発言と「間違い系」の発言の2点をお伝えしました。
そんなことは当然だろ、と思う方も多いかと思います。しかし、実際には世の中に「失言」があふれています。
それはなぜでしょうか。

私は、聞き手(または記事などの書き手)によって作られている失言も多いのではないかと思います。
そこで、次回は「失言のように取られかねない(取られる余地がある)内容の発言」についてです。
実はこれが一番重要かもしれません。


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