【民事編2】民事執行、倒産、家事事件(司法統計)
前回に続いて司法統計の話。
今回は民事編その2として、民事執行事件(強制執行)、倒産事件(破産・民事再生)、家事調停事件(離婚・相続など)について簡単に触れます。
前回と同様、最高裁判所の司法統計(2019年版)をもとに解説します。
※最新版は2020年ですが、この年はコロナの影響を大きく受けているため参考にならないと考え、2019年版をもとに解説します。
民事執行(強制執行・担保不動産競売)
強制執行(不動産・債権)
民事執行手続のうち強制執行手続、そのうち特に不動産執行(不動産強制競売申立事件)と債権執行(債権差押命令申立事件)について。
債権者が判決などに基づいて金銭を回収するために行う手続です。
前者は不動産を差し押さえた後に競売し、後者は債権(銀行預金など)を差し押さえた後に取り立てるなどして回収します。
2019年中に申し立てられた件数は、不動産執行5,524件、債権執行130,563件。
ただし、2019年中に終了した不動産執行手続のうち、半数ほど(53.3%)は取下げによって途中で終了しており、最後まで手続が進んで終結したのは2割強(23.3%)にすぎません。
担保不動産競売
なお、強制執行とは異なり、判決ではなく抵当権などの担保権に基づいて不動産の競売を求める手続(担保不動産競売申立事件。不動産の差押え・競売というとこちらの方を思い浮かべる人が多いかもしれません)は、申し立てられた件数は15,749件。
こちらは取下げで終了したのは2割強(22.4%)、最後まで進んで終結したのは7割強(72.7%)です。
倒産事件(破産・民事再生)
倒産に関する法的手続のうち、破産および民事再生について触れます(会社更生や特別清算は数が少ないので割愛)。
破産
2019年中に申し立てられたのが80,202件(※)、うち個人が73,292件、法人等が6,910件。
※このうち東京地裁は11,505件。
民事再生
2019年中に申し立てられたのが13,739件(※)、うち①通常再生手続が145件、②小規模個人再生手続が12,764件、③給与所得者等再生手続が830件です。
※このうち東京地裁は1,327件。
①が(ほぼ)法人、②③が個人の手続です。
家事事件(離婚、相続など)
ここでは離婚調停事件と遺産分割調停事件を取り上げます。
2019年中に申し立てられた離婚調停(※)は43,492件(うち東京家裁5,028件)、遺産分割調停は13,801件(同1,739件)です。
※統計上は「婚姻中の夫婦間の事件」という項目の件数。この項目には離婚を求める調停のほか夫婦の円満を求める調停も含まれますが、本稿では併せて「離婚調停」としました。